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無人島・カヤマ島/カヤマ島の自然
カヤマ島の自然

絶滅危惧種のコロニーがある島

日本野鳥の会 石垣島支部
事務局長/小林 孝

鳥

<BIRDS>

コアジサシという、ナワバリ意識が非常に強い野鳥が、夏の間、カヤマ島の砂浜に営巣し、繁殖行動を起こします。卵はとてもうまく擬態していて、砂浜のどこかに置かれていますが、それを見つけ出すのはほぼ不可能なほど、卵の模様は周囲の景色に溶け込んでいます。数十羽、時には千羽に及ぶ群れがコロニー(集団)を作り、群れ全体で卵や雛を外敵から守ります。その守り方が大変に強烈です。「ここから先は人間は入ってくれるな」というエリアに私たちが足を踏み込んでしまった時、こちらの頭上に数羽の先兵コアジサシが鋭い威嚇の声をあげながらやってきて、頭すれすれのところまで急降下してきます。時にはくちばしが頭に当たることさえあります。怪我をする可能性を秘めた、捨て身の攻撃なのです。もしそういう場面に出会ったら、そこはもう彼らのサンクチュアリであり、私たちが踏み込んではいけない場所だということを知るでしょう。
 このように外敵に対して非常に神経質な鳥ですから、外からの干渉が極端に少ない場所を営巣地に選ぶのでしょう。しかし、世界中の沿岸や川原、中州の埋め立てや開発などで彼らが利用できる自然の営巣地が減っているので、環境省の日本版レッドリストでは「絶滅危惧Ⅱ類」に指定されてしまいました。カヤマ島には、その絶滅危惧種のコアジサシが選ぶ営巣地が残されているわけです。 カヤマ島の留鳥の代表種は、イシガキヒヨドリ、オサハシブトガラス、セッカ、メジロです。越冬する冬鳥としては、メダイチドリ、シロチドリなどのシギ・チドリ類が挙げられます。ミサゴやクロサギなどの海鳥にも出会えます。

コアジサシ

コアジサシ

地球と生き物が作り出した海岸

WWFサンゴ礁保護研究センター
センター長/鈴木倫太郎 博士(地理学)

礁

<CORAL REEF>

カヤマ島は、日本で最大のサンゴ礁である石西礁湖の北端に位置する島です。石西礁湖は、造礁サンゴなどの生物が作り上げた地形です。この石西礁湖の中では、400種類を超えるサンゴが棲んでいるといわれています。サンゴは動物ですが、体の中に共生している褐虫藻が光合成によって作り出す栄養をもらって生きています。光が必要なサンゴは、浅くて暖かい海が絶好の生息場所です。この石西礁湖は、石垣島と西表島に挟まれた浅い海域が続く、サンゴが棲みやすい海域なのです。このサンゴ礁の海は、私たちの生活に食料や観光資源など、様々な生態系サービスを与えているのです。
 カヤマ島の周囲を歩くと、白い砂浜が続いています。この白い砂は、サンゴ礁の中で生きていたサンゴの骨や貝殻「星砂」と呼ばれる有孔虫が堆積したものです。サンゴ礁の島々の砂浜は、骨や貝殻などの白い生き物の死骸が堆積しているので白色なのですね。また、桟橋近くの波打ち際に注目してみましょう。波打ち際には黒い板状の岩が、長く続いています。この岩は、一見普通の岩に見えますが、火山などで出来る他の岩と少し特徴が違います。岩の割れ目を良く見てみると、小さな砂がびっしりと詰まっている様子が分かります。さらに良く見てみると、砂に閉じ込められているシャコガイやタカセガイなどの大きな貝殻やサンゴを見つけることができます。これは「ビーチロック」と呼ばれる岩で、沖縄では「板干瀬(いたびし)」と呼ばれています。この岩の出来方については、場所によっても異なりますが、海水の蒸発や微生物の力で砂の粒子同士が結びつく作用によるものと考えられています。波打ち際の砂がそのまま固まって出来るため、「砂浜の化石」とも呼ばれています。八重山の島々では、多くの海岸で見ることができました。しかし、このビーチロックは、板状にはがれやすくて加工しやすいため、コンクリートが無い時代には、家の建材や塀の材料に使われてきました。また、海岸の埋め立てや堤の建設によってビーチロックが見られる海岸は少なくなってしまいました。このカヤマ島では、砂浜で作られたビーチロックが、手着かずのそのままの姿で残っています。これは八重山諸島の他の島ではなかなか見ることができない光景です。このビーチロックは、カヤマ島が無人島であるからこそ、ビーチロックが作られた状態で残ることができたのです。

ビーチロック

ビーチロック : ©WWF Japan/Rintaro Suzuki

シャコガイ

閉じ込められたシャコガイ : ©WWF Japan/Rintaro Suzuki

タカセガイ

閉じ込められたタカセガイ : ©WWF Japan/Rintaro Suzuki

離島航路脇の無人島 カヤマ島

元 石垣市文化財審議委員
前津 栄信

草木

<PLANT>

カヤマ島は、小浜島の北約1.5kmで、標高19mの小さな無人島である。島は小さく低い島であり、植物数は少なく、草本類19種、木本類27種を確認した。

1.植物の分布状況
 海岸域では、砂浜をハマゴウが覆い、砂の流失を防ぐすそ群落となっている。その背後には、少々高いアダンやテリハクサトベラなどの潮風に強い樹木があり、マント群落となっている。
 北側の海辺は崖で、上にはコウライシバやシオカゼテンツキ、ソナレムグラ等がある。

2.カヤマ島の植物分布の特異性
 島の周辺域の植物は、潮風に強い植物が分布し、他の島と似ているが、周辺のすそ群落、その背後のマント群落、そしてその背後内陸部は、高木相ではなくチガヤやススキの草原になっているのは特異である。

3.潮風から実を守る海辺の植物
 島を取り巻く海辺の植物は、常に潮風に吹かれていて、台風時には海水をかぶるが、枯れることなく生育しているのはどうしてだろうか?
 田畑で栽培されている植物は、台風時に海水の飛沫をあびたり、海水をかぶると枯れてしまうのに、海辺のアダンやテリハクサトベラなどは、海水をかぶっても枯れずに生育しているのは、不思議である。
 海辺の植物の葉は、つやがあって、テカテカと光り反射している。それはクチクラという堅い膜で覆われているからである。
 クチクラは、生物のからだを保護する働きをもつもので、クチンや蠟からできている。潮風に強い海岸植物がいろいろあるので見つけたら、チェックしてみましょう。

ハマゴウ

ハマゴウ

テリハクサトベラ

テリハクサトベラ

郡生するススキ、チガヤ

郡生するススキ、チガヤ

アダンの実

アダンの実

ボタンニンジン(長命草)

ボタンニンジン(長命草)

バンジロウ(グヮバ)

バンジロウ(グヮバ)

ハマオモトの花

ハマオモトの花

ヤエヤマラセイタソウ

ヤエヤマラセイタソウ

ヤエヤマアオキの実

ヤエヤマアオキの実

宇宙に浮かぶ島

前 石垣島天文台長/宮地 竹史

星

<STARS>

カヤマ島は、美しいサンゴ礁が広がる石西礁湖の真ん中にあり、平らで丸い小さな月のような島ですが、ほんとうに月のウサギのようなウサギがすんでいます。
 八重山諸島は星々が日本一美しく、日本一たくさん見える地域で、月や星を謡った古謡も多く、お月さまも「月の美しいのは十三夜、娘の美しいのは十七歳」と「月ぬ美しゃ」で謡われています。星の名前も島独特の呼び方が残っている星文化の島です。
 四方が開け、星空がプラネタリウムのように見えるカヤマ島の星空はすばらしく、春には南十字星の4つの星や、ケンタウルス座のα、β星(島では「ぱいがぶ(南の星)」とよぶ)が、夏には天の川(てぃんがーら)が南の海から北の海へと夜空を流れ、さそり座は空に昇る竜のように、秋にはアケルナルが見えます。
 冬の南の空には、この星を見ると長生きをするといわれるカノープス(南極老人星)が水平線高く見え、冬の大三角、オリオン座、おうし座、昴(むりかぶし)が輝いています。北の空では、北極星(にぬふぁぶし)や、北斗七星(ふなぶし)が見られます。
 八重山諸島は北緯24度にあり、本州では16個しか見えない一等星が21個すべて(88個の星座は84個)見られ、カヤマ島は宇宙に浮かぶ島のようです。
 美しいサンゴ礁の海に浮かぶお盆のようなカヤマ島、満月の夜は、うさぎたちと月明かりの浜を楽しむのも良いでしょう。

冬の星座

冬の星座

南十字星とぱいがぶし

南十字星とぱいがぶし

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